寝汗といって、人は、眠りにつくと汗をかきます。これは、深い睡眠へと導き、脳と身体を休めるために必要な、正常な生理反応なのです。また、この場合の汗はサラサラとしていて気づかないうちに蒸発してしまいます。しかし、必要以上にダラダラと寝汗をかく・ベタッとしたような寝汗を大量にかくような場合は、自律神経のバランスが崩れていたり、疲れが溜まっていたり、何らかの疾患が原因となっていることもありますので、生活や体調を見直し、気になる場合は一度医師の診察を受けましょう。(子供の場合は代謝も良いため大人に比べて寝汗をかきやすく、疲れるとさらにかきやすくなります。)
寝汗をかく原因
- ・健康な状態
床についた途端にスッと深い眠りに入れる方は、良い汗をかいていると言えます。サラサラの寝汗で、本人は気づきません。
- ・暑い(気温が高い・衣類を多く着ている・布団のかけすぎなど)
- ・湿度が高い(湿気が多い・寝具の通気性が悪いなど)
- ・緊張・興奮する夢を見た。(怖い夢など)
- ・精神的なもの(緊張が続いている・気にしすぎなど)
暑くなくても手のひらや足の裏にかく汗は、精神性発汗が考えられます。
- ・運動不足
汗腺がきちんと働いていないと、汗をかく場所に偏りがあったり、大粒の汗をかくことがあります。
- ・過労
疲れが溜まると寝汗をかくという方が多く見られます。
- その他に
心労、 肥満、 更年期、 自律神経失調症、 肺結核、 甲状腺機能亢進症、 うつ病、 脳卒中のあと、 発熱性疾患(感染症など)、 アルコール中毒、 糖尿病、 心臓病、 リンパ腫、 睡眠時無呼吸症、 慢性骨髄性白血病、 がん、 クローン病、 突発性好酸球増加症候群など
寝汗の治療
何らかの疾患がある場合には、それを治療します。
それ以外の場合に起こる寝汗は状態によって、局所制汗剤・ボツリヌス毒素A・抗コリン剤・精神安定剤・漢方薬などの薬物を使用(外用・内服・注射)したり、心理カウンセリングや手術を行います。
寝汗の予防
特に何らかの病気がなければ、生活や精神面を見直すことも大切です。
局所(上半身だけ、顔だけなど)に濃い汗をかくという方は、サラサラの汗をかけるようにすることで、蒸発しやすくなり気にならなくなることもあるので、そういった汗をかけるような汗腺の訓練(汗腺を使うこと)をするのも良いのではないでしょうか?
しかし、それでも改善しない・どうしたらいいのかわからないという場合には、医師に相談してみましょう。ただし、汗の多い少ないは主観的な判断によるところも大きく、正常な生理反応であることも多いため、自分が信頼できる、汗を専門にした医師・医療機関を根気よく探すことも大切です。
- ・あまり気にせず、他のことに意識を向ける。
- ・疲れを溜めない。(食事を三食きちんと摂る。規則正しい生活をする。睡眠不足にならないなど)
- ・ストレスを溜め込まず、気分転換を大切にする。
- ・暑くしすぎない。
- ・蒸れやすい寝具は避ける。
- ・寝る前はリラックスする。
・・・自律訓練法を行うのも良いでしょう。
- ・10時には床に入り、朝はきちんと起きる。
・・・夜10〜2時の間は、深い睡眠を得るためにも大切な時間帯です。この間にしっかり眠ることで身体を整えるホルモンが分泌され、身体を休めることができます。自律神経のバランスを整えるためにも、早寝・早起きがお勧めです。
濃い汗をかきやすい方は汗腺を鍛えましょう。
- ・適度な運動を行う。
・・・特に局部に汗をかく場合は、汗腺の機能が衰えていることも考えられるため、運動で汗の調節機能を高めると良い場合もあります。ただし、水分補給は忘れずに。
- ・床に入る前にぬるめのお湯に浸かってリラックスし、身体を温める。
・・・精神を落ち着かせ、汗の調節機能を高め、気持ちの良い汗をかいて深い睡眠を得るためには、入浴がお勧めです。ただし長湯は控え、入浴の前後に水分はきちんと摂りましょう。
- ・入浴後、すぐに身体を冷やさない。日中・眠る時にクーラーで冷やしすぎない。
・・・入浴後、暑いからといってクーラーで急激に冷やすと、汗は止まって皮膚の温度が下がっても、深部の体温は高いままです。これを繰り返すと自律神経のバランスが崩れ、汗の調節力も弱まり、逆に汗をかきやすくなることもあります。また、額をうちわで扇ぐと涼しく感じるので、やってみましょう。
【参考〜睡眠と汗の関係〜】
汗は、体の奥と皮膚にある温度センサーからの情報をもとに、適正な深部体温になるように脳の視床下部(体温調節中枢)で調節されます。
例えば、脳の設定温度よりも深部体温が高いと汗をかいて、体温が下がるように働きます。
(汗が蒸発するときに熱が奪われて体温が下がります。)
体温は眠る前には高く、眠りにつくと下がってきます。この変化が重要で、手足が温まり(末梢の血管が拡張した状態)、汗が出ることによって体温が下がり、深い睡眠に落ちていくのです。そして、この時にいかに深く眠れるかによって翌日の体調や肌の状態も変わってきます。
つまり、寝入りばなにかく正常な汗は元気を回復するための大切な汗なのです。
しかし、蒸し暑い環境では汗が蒸発しづらくなるため、汗をかいても蒸発する前に流れてしまい、なかなか体温を下げることはできず、眠りは浅くなりがちです。つまり、無駄な汗になってしまうのです。蒸し暑い夜に寝汗をかきやすくなるのはこのためです。
また、朝方は活動に備えて設定温度は上がるため、発汗量は減ります。
【汗の質】
汗は単なる水分ではなく、ミネラルなどの身体に必要な栄養素も含まれています。
これは、汗は血液から汲み取っているためです。
そのため、汗をかくたびにダラダラと必要なものを出すわけにはいきません。実は汗腺には必要なものを再吸収する働きもあるのです。
したがって、理想的な汗は薄く、サラサラとしています。
もしも、ベタッとした汗やダラダラと流れて蒸発しづらい汗・しょっぱい汗・においの強い汗をかくような場合には必要以上に塩分やミネラルなどが失われている可能性があります。
また、この場合は全身に汗をかくというよりも部分的にかくことがあります。これは活動している汗腺が少ないために一部の汗腺に負担がかかり、必要なものを再吸収しきれていないことも考えられます。
生活習慣を見直し、汗腺を怠けさせていないかなど、原因を探ってみることも大切です。
| 参考文献: |
読むだけで汗が少なくなる本/五味常明著 講談社 |
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シンプル生理学/貴邑冨久子・根来英雄 共著 南江堂 |
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家庭の医学百百科/主婦と生活社 |
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家庭の医学/時事通信社 |
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家庭医学大百科/主婦の友社 |
東洋医学的解説はこちら |