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東洋医学的解説

この痛みはどういう状態なのか、何が原因となっているのかなどを捉えるのに、漢方では、いくつかの判断方法があります。
それを簡単にご紹介します。

痛みは、どういう状態だと起こるのでしょうか?

  • 余分なものがある場合、それが経絡の流れを邪魔して痛みがでます。(実証

例えば、
邪気を受ける。(例:春に風邪、夏に暑(熱)邪、梅雨の時期に湿邪、冬に寒邪など)
血の流れが悪く、滞りがある。(気滞オ血(おけつ))
余分な湿気が溜まっている。(湿邪阻滞
飲食の不摂生により消化不良となり、消化管内に停滞している。(食積

などが、痛みの原因となります。

  • 気血や陰精(滋潤するもの)といった身体にとって必要なものが不足している場合にも、本来の機能が働かずに痛みがでます。(虚証
  • 痛みの特徴

実証の痛みには次のような特徴があります。

激しく痛む
押さえると痛みが増す
突然痛む   など

また原因によって、痛み方や伴いやすい症状に違いがあります。

気の流れが滞っている場合(気滞)・・・特徴:張った感じを伴う、痛む場所が決まっていない。

「ストレスが多い」、「頭・脇・背中が張って痛い」、「イライラしやすい」 という方はこのタイプかもしれません。
身体と心の緊張をほぐしてあげる必要があります。
気分転換や適度な運動も大切ですが、体質・原因を知って漢方で対処しておくのも予防につながります。

血(けつ)の流れが滞っている場合(オ血阻滞)・・・特長:痛む場所が固定している、針で刺されるように痛む。

肩こり頭痛がある」、「刺すような痛みがある」、「経血に血の塊がある」 という方はこのタイプかもしれません。オ血が阻滞する原因も人それぞれです。
体質を確認し、生活スタイル・食事内容等を見直して、血の流れを良くする心がけも大切です

湿(代謝しきれない水分)が溜まっている場合(湿邪阻滞)・・・特徴:痛みに重だるさを伴う

「舌苔がびっしりはえている」、「むくみやすい」、「身体が重だるい」 などを伴う方は、このタイプかもしれません。
また、関節の痛みも、風邪や寒邪、熱邪と合わさって出ることがあります。

虚証の痛みには、次のような特徴があります。

しくしく痛む
押さえると痛みが軽減する
痛みが長時間続く   など

例えば以下のようなものがありますが、他にもその方の状態によって、色々なタイプが考えられます。

血虚(けっきょ)(必要な血が足りていない状態)の場合

「生理前後になると頭痛がする」、「手や足がピリピリとしびれたように痛む」 などの症状はこのタイプが考えられます。
特に女性は、毎月生理による出血もあり血(けつ)が不足しがちです。普段から、血を補う食事を心がけましょう。

腎虚(じんきょ)の場合

高齢者の「腰痛」は、このタイプが考えられます。
ただし、最近は若い方でも腎虚の人が多く見受けられます。
もし、腰をトントンとしたくなるようなだるさがあったら、要注意です。

寒証の痛みには、次のような特徴があります。

痛みに冷たい感じを伴う
温めると痛みが軽減する

もし、これらが当てはまるのであれば、寒邪をかかえているか、温める力が不足していることが考えられます。
症状としては例えば、
「寒いところに行くと頭痛がする」、「冷えると関節が痛くなる」、「おなかを触ると冷たく(あるいは体温が低く)しくしく痛む」、「冷たいものを摂ったらおなかが痛くなった」 などがあります。

熱証の痛みには、次のような特徴があります。

痛みに灼熱感を伴う
冷やすと痛みが軽減する

この他、「患部が赤く腫れている」、「舌が赤い」 などを伴うことがあります。

痛みも他の症状と同じく、このタイプ!と決められるものではなく、いくつかが重なっていることが多くあります。
漢方ではそれらを総合してみた上で、判断していきます。

西洋医学的解説

痛みは、異常を知らせる危険信号であり、大切な防御システムでもあります。
また、大なり小なり、誰もが経験したことのある最も身近な辛い症状のひとつであり、少しでも和らいでほしいものです。
ただし診断においては、痛みの感じ方が人それぞれで表現も異なり、精神的な影響も大きいため、どのような痛みなのか客観的な判断が難しいものでもあります。

  • 痛みのメカニズム

有害な刺激が加わり、侵害受容器(痛みを感じる知覚神経の終末)を刺激すると、その情報が脊髄を通り脳に伝えられ、痛みの位置が確認されて痛いと感じます。

痛みの悪循環
痛みのために交感神経が活発になると、血管や筋肉が収縮して、そこの血流が悪くなります。(筋肉が凝る)
すると、発痛物質(ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、プロスタグランジンなど)が放出され、しかも血流が悪いためにその物質も長く留まることになり、さらに痛みが悪化、持続するという悪循環に陥りやすくなるのです。

  • 痛みの分類

<場所による分類>

表面痛(体性痛)

皮膚や粘膜に感じる痛み。(例:神経痛)
痛みの伝わり方には2種類あります。
例えば、足をぶつけたり、やけどをした時、初めは刺すような鋭い痛みを感じて、その後ジーンとうずくような痛みを感じた経験はあるのではないでしょうか?
初めの痛みは太い神経(Aδ(デルタ)線維)を通って伝えられ、後からくる痛みは細い神経(C線維)を通って伝えられるからです。

内臓痛

内臓やその周囲の組織の収縮、伸展、拡張、痙攣などによって起こる痛み。
特に、血行障害では、激しい痛みを感じます。(例:心筋梗塞)
痛む範囲が漠然としていて、患部を特定しにくく、関連痛 を発することも多くあります。

深部痛

皮膚・粘膜と内臓の中間に位置する組織の筋肉、骨膜、関節、腱などの障害によって起こる痛み。(例:狭心症による胸痛)
痛む範囲が漠然としていて、患部が特定しにくいという特徴があります。

※関連通(放散痛)とは・・・
内臓の痛みが、その場所から離れた皮膚の表面に出てくるものをいいます。
例:心筋梗塞・・・左の肩から肘にかけての皮膚に痛みを感じる。

この他にも、
急性痛と慢性痛に分ける方法や、頭痛・胸痛・腹痛など身体の場所による分け方など、色々あります。

  • 診察の前に確認しておきましょう

痛みは、先に述べたように客観的な判断が難しい症状でもあり、一度の診察では原因がつかめず、まずは様子を見るということもあります。
従って、診察の際には状態を出来るだけ医師に伝えることも大切です。
例えば、以下のようなことが挙げられます。

どこが痛いのか?
いつから痛いのか?
どのように始まったのか?
どんな時に痛くなるのか?

(時間、食事の前後、寝ている時、体を動かした時、暑い時、寒い時、冷やすと痛いのか、温めると痛いのかなど)

どんな痛みなのか?(きりきり、ズキンズキン、締め付ける、しびれる、重いような感じなど)
痛み方は?(ずっと続いている、次第に痛みが強くなっている、周期的に痛むなど)
痛みの程度は?(今まで経験した中で最も激しい痛みを10として、いくつ位に相当するのか)  など

  • 痛みの治療

自己診断によって鎮痛剤を乱用するのは、何らかの疾患を見逃すことにもなりかねません。
痛みが続く、今までとは違う痛みである、次第に痛みが強くなるような場合には、医師の診察を受けましょう。

また現在は、痛みを専門に扱う「ペインクリニック」や「痛み外来」もあります。
鎮痛剤の服用でも止められない、何度も繰り返すなど、慢性の痛みが続いている場合は、こちらを受診するのもひとつの方法です。(治療:神経ブロック、薬物療法、神経電気刺激療法、マッサージ、温熱療法など)

  • 使用する薬

状態に合わせて、鎮痛剤、血管拡張剤、血管収縮剤、抗てんかん薬、抗炎症剤、鎮痙薬、鎮静剤、抗不安薬、抗うつ薬、麻薬性鎮痛薬などを使います。

  • 悪循環にならないために

悪循環に陥りやすいということは、逆に言えば「早いうちに治療したほうが改善も早い」とも言えるのです。
例えば、身近な肩こりからくる頭痛なども、
適度な運動をする、湿布を貼る、温める、マッサージを受ける、それでも痛くなったら鎮痛剤を服用するなど、ひどくなる前に対処することで予防でき、改善も早くなるのです。
(炎症がある、熱をもっているようなときは、まずは冷やすことが大切です。)

鎮痛剤に関しても、常に頼ってしまうのは問題ですが、我慢することがいいとも限りません。
日常生活に支障が出るような時は、早めに鎮痛剤を服用して改善することも、悪循環にならないためのひとつの方法です。

<身体のふしぎ:病は気から?>
痛みはつらいものですが、実はそれを和らげる働きが身体には備わっているのです。
脳内モルヒネという言葉を聞いたことはありますか?
これは、長距離のマラソンランナーがある段階までいくと苦しさがとれて楽になり、気分も良くなる(ランナーズ・ハイ)ということでも知られています。
実は痛みを感じた時も、脳からエンドルフィン、エンケファリンなどの麻薬のような作用をもった物質がでてきて、痛みを和らげてくれるのです。
まだ細かなところまで分かっているわけではありませんが、例えばリラックスしている時、プラス思考でいる時、笑っている時などは、脳内モルヒネが出やすくなります。
また、気持ちがいいと思える適度な運動もいいようです。

一方で、こういった経験はありませんか?
「あまりの痛さに、カーッとなって、取り乱してしまい、余計に痛みが増してきた・・・」
あるいは
「痛い痛いと言ってそのことばかり考えていたらさらに痛くなってきた・・・」など。

これは、交感神経が興奮することで、脳内にノルアドレナリンが増えてしまったからなのです。
もちろん、これも危険な状態を脱するための身体の防御システムによるものなのですが、やはり痛みは和らいでほしいものです。

痛みは、当の本人にとっては非常につらく、意識も痛みに向きがちですが、他の事に集中したり、好きなことをしてリフレッシュすることも大切なのです。
定期的に、心と身体の緊張をほぐしてあげましょう。

参考文献:「痛みとの闘い」磯辺義成著 (早稲田出版)
 「からだの痛みで病気がわかる本」塚本雄介監修 宮西ナオ子著 (かんき出版)
 「家庭医学館」 (小学館)
 「家庭医学大百科」 (主婦の友社)
 「家庭の医学百科」 (主婦と生活社)

気になる予算は?

予算は痛み方によって異なります。
体験談に記載されている、1ヶ月の予算をご参考になさってください。

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